何だかんだ言っても、やはりみんな幸福な生活を望んでいるのではないでしょうか。そのために、日々生活し、活動し、出逢いなどなど行っています。日常の生活で感じた事、実際に経験したことなど、徒然のままに、記録してみます。
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2025年1月11日土曜日
◎企業にも言い分がある
◎企業にも言い分がある
日下: じゃあ、ちょっと過去の方からお話ししましょう。
トヨタにもいい面がある。トヨタとしては、「国から言われたとおりに税金を払ったじゃないか」という言い分がある。
「その税金をきちんと使えば、国は何とかできるのではないか。失業給付金などで何とかできたはずだ。これまでトヨタが払ってきた税金はどこに使われたのか、もっと立派な使い道があったはずだ」と。
また、トヨタの払ってきた税金で、「次の商売に役立つ立派な日本人を育成できただろう」と思う。しかし文部省は次の商売に役立つ教育をしていない。「それをちゃんと見通す目がないのなら、そもそも、税金をとるな」と思う。
つまり、次の国民を立派につくつてみせるというから税金を払ってきたことを、ここで見直さなければいけない。
トヨタの人は本当にそんなことを言っていますよ。もっと大きな声で言えばいいのに、遠慮している(笑)。
そこで思い出す場面がある。昔、「外部経済」と「内部経済」という用語が流行したことがあった。
企業が内部経済をしっかりやると外部に不経済が出る。外部不経済とは、公害などのように、外に対して悪いことをすることで、国家は権力をもってそれをチェックするか、税金をとって始末するかで、どちらでもいいからそれをまじめにやらなければいけない。が、それをきちんとやっていない。つまり、国家は、外部不経済をきちんと処理できていない。
企業のほうは、その与えられた条件の中で内部経済を一生懸命よくしようとするのは当然のことだ。すると、企業は中国に行ってしまうということになる。国内の失業に文旬を言うなら、外交とか貿易とか税金などで、何とかするのが国家の仕事だったはずだ。企業としては、水が流れるように流れているだけで、素早く有為転変して、右に行ったり、左に行ったりするのがいい経営ということになる(笑)。経済学から言えばそう言える。
そして自動車産業はここまで巨大化してきた。しかしいま、ようやく「新車は買わない、即免許はいらない」という時代が来たが、それでも、トヨタなどはサブプライムローン問題が起こる寸前までは史上最大の売り上げを記録してきた。そしてこの間、技術進歩で自動車の値段は高くならなかったから、感心だ。鉛ガスも出さないし。
武田: そう、それは大したものですよね。
『作られた環境問題』NHKの環境報道に騙されるな! 武田邦彦・日下公人 (WAC 文庫 平成21年発行)より
R070111 P164
2025年1月10日金曜日
◎先端技術は外に出すのではなく、国内でやるべき
◎先端技術は外に出すのではなく、国内でやるべき
武田: さきほども話しましたが、日本企業がどんどん中国に進出して工場をつくるというのも、当座の利益を追っているだけで、結局は企業にとっても日本にとってもよくないのではないかと考えています。
国内の労働者の技術力が発揮できなくなる。基本的には海外に技術を出してしまうことにもなります。それをトータルとして考えたときに、海外に出すことによって、人件費が節約できて、製造原価の中で一五%が節約できたとします。すると、八五%でクルマができた。しかし、その分、国内で人間を切ることになる。
技術の移転としては、よほど古い技術だったら別ですが、中国は技術を真似しても駄目だろうと思うから大丈夫だと思うんですけど。
たとえば、尿素のプラントなどは最初に先進国にできて、それから中進国にできて、後進国にできる。そういう技術と、最先端をリニューアルしていくような技術を同じ方針でいいのか。
先端技術は外に出すのではなく、国内でやるのかどうかという基本的方針があまり見えないのです。一九六0年代のアメリカなどが海外に企業を出したときの様子を振り返って見ても、アメリカにとってあまり得にならなかった。
結局は国内の労働者の失業率が増えて、それによって社会不安が起きて、弁護士費用が増えて……となって、トータルとして、差し引きしたときに海外につくると、原価が一五%減ったからといっても、それが全部返っているとは思えないんですね。
私はいつも技術者のことが気になってしまうのです。いまの日本だけで短期的な問題を言えば、地方の技術者は親と住めないことが大きな問題です。みんな、勤務地は東京か海外になってしまうから。青森の鯵ヶ沢と沖縄のうるま市などで委員をやっていて、よく知っているのですが、一所懸命、勉強して技術者になると家族で生活ができない。それはもう本当に悲惨だと思います。その人たちの人生は報われないんですから。
だから、私はトヨタの偉い人たちに会うと、「とにかく国内に工場をつくつてください」とお願いするんです。しかし、なぜそれができないかと言えば、とにかく任期中は収益をあげないと役員を首になってしまうので、どうしても海外に工場をつくる方向になるのですね。とにかく前期に比べて収益を上げなければとなる。ずっと右肩上がりの計画で行こうとしているわけです。
「あなたのところの計画、右肩上がりになっているんですけど、これ、どうなんでしょうか」と冷やかすんだけど(笑)。そのために、本当に技術者はかわいそうですよ。いまはちょっとよくなりましたが、八0年代から九0年代にかけてはとくにひどかった。私は学生たちに、「お前、そこに入ると、三年くらいは日本にいるかもしれないが、あとはずっと海外だぞ。それでいいの?」などと言っていましたが。
『作られた環境問題』NHKの環境報道に騙されるな! 武田邦彦・日下公人 (WAC 文庫 平成21年発行)より
R070110 P161
2025年1月9日木曜日
◎一部の人が栄えればいいというシステムが通用したことはない
◎一部の人が栄えればいいというシステムが通用したことはない
武田: これは日下さんに聞きたいことでもあるのですが、公害にしてもそうですし、今回のサブプライム問題もそうですが、科学者として、私は「一部の人が栄えればいいというシステムが通用したことは、歴史的にはない」と考えているのですが。
日下: それは極めて壮大なご指摘ですね。
武田: 企業活動というものにしても、「何のためにしているか」という目的が失われてくると、そのしっぺ返しは必ず起こると思っています。企業は反対勢力からの反撃、たとえば公害であれば、ぜんそくになった人からの反撃などが出てくるまで、その是正ができないのか。つまり、そういう反撃を待たなければ直せないほど企業というのはバカなのかと。
これは私の専門分野ではないのですが、今回のサブプライム問題以降の経済問題で言えば、トヨタとかキャノンとかソニーとか、日本を代表する大企業が臨時工をどんどん解雇した。
私などはそれを見て、トヨタとかキャノンという会社は、何のために仕事自体をやっているのかなと思ってしまうのですね。
たとえば、会社は業績が悪くなればすぐに人を切る。「そういうのが社会というものさ」という人と、「そうではないよ」という考え方の二通りあると思います。私は、やはり、そうではないことを期待しています。そこのところがどこかの時代でガラリと変わる、つまり、よくなるのではないかと。
派遣切りということでは、会社を潰さないためにはやむを得ないというのが、経済原則のように言われます。しかし、それでは、「一部の人たちが得すればいい」ということになるのではないか。本来、全体がよいという方向にいくのが必然の流れではないかと思うんですね。
日本の代表的な企業が、派遣を切り簡単に人減らしをするというように、社会的責任を持たないなら、企業は、政治などには「いっさい口を出すな」と言いたい。政治のほうも問題があるけれど、企業のほうも、「ちゃんとやってください」と言いたいですね。
大企業が社会的責任を果たせないなら、それでもかまわないんですよ。もみ手をする悪徳商人でもいいけど、それなら、もみ手をする悪徳商人らしく、普段は黙っていろと。それが大企業の派遣切りの感想なんですが(笑)。
いまの企業のコンプライアンスというのは、私に言わせれば、企業を守るための行動だから、ズルすればいいことになる。
しかし、公害問題を解決したことによって、日本の産業が伸びたということは何を示しているのか。それはやっぱり全体がよくならないと、企業の業績もよくならないということを示しているのではないかと思うんですよ。
日下: 同感です
『作られた環境問題』NHKの環境報道に騙されるな! 武田邦彦・日下公人 (WAC 文庫 平成21年発行)より
R070109 P159
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