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2024年11月15日金曜日

高度な技術力を「軍事」から「美術」へ

高度な技術力を「軍事」から「美術」へ 興味深いことに、日本の建築技術の歴史を考えてみると、法隆寺や東大寺の大仏殿のような巨大なものからスタートして徐々に 精密さを増し建築物が小さくなっていく傾向があることがわかります。 わかりやすく言うと、「東大寺の大仏殿が、千利休の茶室になっていく」ということです。 建築物ばかりではなく陶器のようなものまで、大掛かりなものから小さく精密なものになっていきます。実はこの伝統は、縄文時代の遺跡などからもうかがい知ることができます。

日本は戦後の高度経済成長期に、電化製品などをコンパクト化する技術が高く評価されました。真空管を使っていたラジオをトランジスタを導入して小型化し、テレビも、自動車も小型のも のをつくりました。 韓国の文学博士である李御寧(イオリヨン)が著書『「縮み」志向の日本人』(講談社、2007年)で分析し、「縮み志向」という言葉が注目されたことがありましたが、大きなものから小さくて細かなものへ技術を深めていくことは日本の得意分野なのです。 これもまた、日本では伝統的に自然に向き合う気持ちから文化が育まれることの好例として考えて間違いないでしょう。 いずれにせよ、日本の大工の棟梁は、図面もないところで巨大な建築物をつくり上げ、地震や台風にも耐えて1000年を超えてなお揺らぐこともなくそびえ続ける建物をつくり上げるだけの建築技術を持っていました。 パソコンの図面やコンピュータによる計算、設計と施工の分離体制などは、どちらかと言えばむしろヨーロッパの低い技術の焼き直しなのです。 日本の技術に対する関心と興味は古来、世界のトップレベルにありました。そして、大砲や軍艦をつくるといった軍事目的より、工芸品や美術品などの方面に研ぎ澄まされた完成度を見せてきました。 日本刀は武器としても世界的にレベル の高いものですが、鋼の製造過程といった技術的な面、鍔(つば)や掠(こしらえ)といった工芸的な面において評価が高く、武器と言うよりむしろ美術品としてのレベルで語られています。 日本人の科学や技術についての研鑽がどれだけ平和的で合理性に富んだものなのか、それは東大寺の大仏建立時の日本以外の国々の技術と比較してもよくわかります。 日本人は古代から技術を芸術化していくという経験をしてきています。 そんな日本人が、明治維新では文明開化と称して、技術を軍事目的に使うという、より未熟な文化を持つヨーロッパを称賛しました。 そしてまた、いわゆる平和主義を掲げる文化人が未だにヨーロッパの文化を尊敬しているのはいかがなものでしょうか。 『かけがえのない国――誇り高き日本文明』 武田邦彦 ((株)MND令和5年発行)より R060213 171 R061115

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