

しかも、一九五〇年の前後で、上昇ペースは変わっていない。つまり、人間のCO2排出がわずかだった一八五八~一九五〇年(九三年間)も、大量排出期の一九五〇~二〇〇九年(六〇年間)も、海面上昇のスピードはほとんど同じだったのです。 「二ミリメートル/年」の海面上昇が続くとしても、五年後にせいぜい一〇センチメートル(さざ波未満)だから、ゴアの脅した「フロリダ州の半分が水没」も、ハンセンの叫んだ六メートル上昇(三〇〇〇年分!)も、絶対にありえません。 先ほども書いたとおり海面上昇は、水温が上がって水が熱膨張した結果でしょう。水温が上がれば、気温も必ず上がったはずですね。すると論文の結果は、こう解釈するしかありません―――少なくとも一八五〇年ごろから現在まで、地球の気温は、人間の出すCO2とほとんど関係なく上がってきた。 それなら、一九世紀の中期以降、地球の気温はなぜ上がったのでしょう? いちばんありそうなのは、二〇〇~三〇〇年周期で進む気温の自然変動です。それに関連する(前章で少し触れた)小氷期のことは、改めて次章で説明します。 本項のおしまいに、ご関心の向きも多いかと思い、気象庁がまとめた日本の海水準トレンドをご紹介しておきましょう。 気候変動・脱炭素」14のウソ』渡辺正著(丸善出版株式会社)
