◆ あとがき 実は、とても科学的な「日本文明」 ◆
● 科学とはどういうものか
科学で行われている作業は、実験や観測から生まれる実証的なデータ(事実)の集積です。一つひとつのデータを誰もが共有できるように集積します。
そして誰もが確認できるデータに基づいてさらなる実験や観測をし、事実関係を実証的に次々と積み重ねて先に進んでいきます。
新しい計測器が発明され今まで困難だったデータを読み取ることができれば、それまで積み上げてきた事実が一挙に逆転されるかもしれません。それは仕方がないことなのです。
私たち科学者は、大きな木の根本でごそごそと動きながら少しでも上にあがろうとしている小さな虫のような存在です。試行錯誤しながら少しでも大木の上のほうに行きたいと懸命に模索しているのです。
科学とはどういうものか、もう少しわかりやすく説明してみましょう。
たとえば「天動説」。天動説というのは「地球が宇宙の中心にあり、太陽は地球の周りを回っている」という説です。古代ギリシアやローマ、中世ヨーロッパなどでは常識的な宇宙論でした。
天動説の面白いところは、単に自分の目だけで観測しているのであれば、「誰にでもそう見える」ということです。したがって、けっして間違いではありません。その時点では「科学的に正しい」と言えるのです。
自分が地上に立って空を見上げれば、どう見ても太陽は東から上がり、西に沈んでいきます。夜の星を観察しても、少し違う動きをするものもありますが、同じことです。事実として、地球の大地が動かずに太陽や月や星が動いているように見える。
しかし、観察データが積み重なって分析が細かくなると、さまざまな解釈が生まれてきます。
天動説が華やかなりし頃、ガリレオ・ガリレイがオランダで天体望遠鏡を手に入れ、観測しました。すると、天動説に疑問を感じるようになりました。
「惑星の動きがどうもおかしい。なぜだろう?・観測データを整理して考えてみると、「本当は太陽が中心にあって地球がその周りを回っているのではないか?」。
やがて、ニコラウス・コペルニクスが提唱してガリレオが支持した「地動説」こそが正しいという流れになってきます。
『かけがえのない国 誇り高き日本文明』武田邦彦著 MdN出版(R05年)より R080619

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