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2026年4月7日火曜日

連載:至誠の覚醒 第二十九話 二十歳の面接官

連載:至誠の覚醒 第二十九話 二十歳の面接官 進学の時期になると、塾では親子面談を行った。 生徒と保護者が並んで座る。向かいに教師が座る。志望校を確認し、可能性を話し、方針を決める。ごく普通の面談だ。ただ一つを除いては。 向かいに座っている教師が、二十歳そこらの学生だった。 今思えば、よく平然とやっていたと思う。しかし当時は、それが当たり前だった。塾の中では、年齢は関係なかった。担当クラスを持ち、生徒の成績を把握し、志望校を熟知していれば、それで十分だった。 上位クラスの志望校は、麻布、開成、武蔵、教駒だった。その次に早慶附属が続き、都立の上位校へと続いた。そこを目指す子どもたちとその親御さんが、私の前に座った。 彼らには、ある事情があった。 多磨塾の生徒は、学校の中で浮いていた。成績が良すぎた。授業が物足りなかった。そういう子どもたちは、学校側から正当な内申書をもらえないことがあった。成績トップの生徒ほど、内申が不当に低くつけられた。おそらく、先生方にとって都合が悪かったのだと思う。 だから余計に、上位校の入試を突破するしかなかった。内申では戦えない。実力で勝つしかない。その覚悟を持った親子が、私の前に座っていた。 私は偉そうに話した。 志望校の傾向を説明し、残り期間の方針を伝え、合否の見通しを述べた。二十歳そこらが、である。親御さんは真剣な顔で聞いていた。お子さんも緊張した顔で座っていた。 思い上がっていた、と今は思う。 しかし不思議なことに、後ろめたさはあまりなかった。それだけ、生徒のことを真剣に考えていたからだと思う。担当クラスの子どもたちの成績は、頭の中に入っていた。どこなら受かる、どこは厳しい、それは確信を持って言えた。 年齢ではなく、中身で勝負する。 筒田先生の塾は、そういう場所だった。 (つづく)R080407

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