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何だかんだ言っても、やはりみんな幸福な生活を望んでいるのではないでしょうか。そのために、日々生活し、活動し、出逢いなどなど行っています。日常の生活で感じた事、実際に経験したことなど、徒然のままに、記録してみます。
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2026年4月1日水曜日
連載:至誠の覚醒 第二十三話 のどがカラカラになった
連載:至誠の覚醒 第二十三話 のどがカラカラになった
早稲田のキャンパスへは、高田馬場から歩いて通った。毎日、古本屋街を抜けていく道だった。立ち止まって背表紙を眺めることもあった。買うこともあった。読まないままになった本もあった。それでも捨てられない。
教育学部の裏門から入ると、キャンパスの空気が変わった。都会の喧騒が、すっと遠くなる感じがした。校門近くの食堂で牛丼を食べた。安かった。うまかった。今も名前を覚えている。三品食堂だったと思う。
クラブにも顔を出した。ヨット部の諏訪湖合宿、ESAのクラブハウス、スペイン語研究会の薄汚れた部室。どれも中途半端だったかもしれない。塾があったから、いつも片足しか踏み込めなかった。それを後悔したことは、あまりない。
塾での仕事は続いていた。
大学一年の秋、最初に担当させられたクラスは、三βだった。トップクラスだった。数学を持たされた。
困った。彼らのほうが、数学の知識が豊富だった。それはすぐにわかった。頭が良いのも、わかった。教壇に立って、四十分の授業を始めた。終わるまでが、長かった。黒板に向かいながら、次の言葉を探し続けた。
授業が終わると、のどがカラカラになっていた。
しかし、不思議と嫌ではなかった。彼らは真剣だった。こちらが誤魔化せば、すぐにわかる。それが緊張を生んだ。緊張が、私を育てた。今思えば、あれは良い経験だった。教えることで、教わっていた。
田中ゼミが始まったのも、その頃だった。田中喜助先生の研究棟で行うこともあれば、自分たちで場所を工夫することもあった。田中先生は数字で物事を読む人だった。感情ではなく、構造で見る。その視線が、私には新鮮だった。
ただ、私は塾があったので、同期の中では一番不真面目なゼミ生だったかもしれない。先生には申し訳なかった。それでも、田中先生のゼミで芽生えた問いが、ずっと私の中に残った。
数字は嘘をつかない。人間は嘘をつく。では、人間が作った数字はどちらだろう。
その問いの答えを、私はまだ探し続けている。
(つづく)R080401
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