
横田めぐみさんと同じ運命をたどった人はたくさんいますが、すべての人について触れると話がまぎれるので、ここでは日本の拉致被害者の象徴的存在でもある横田めぐみさんについて取り上げさせてもらいます。 1977年11月15日、中学1年生の女子が新潟県の道路を歩いていたところを拉致されてしまいました。しかしこの事件において日本に20数万人がいる警察も 、海上保安庁も、自衛隊も一切何もできませんでした。 少女が日本の国土において拉致されそうになれば、それを防ぐのは警察の役目です。 海上で不審船を停めるのは海上保安庁の仕事です。 そして、自衛隊にとっての一番大切な役割は日本人の命や財産を守ることです。たとえば自分の家から娘が連れ去られて、隣家からその娘の泣き声が聞こえたならば、親であれば「すぐに飛び込んでいって助けよう」となるでしょう。 そのように考えた時、横田めぐみさんが本当に連れていかれてしまって、そのことについての証言がいくつもあるのなら、北朝鮮にまで突入していって助け出すのが自衛隊の仕事だろうと私は考えます。 しかし私たちの税金で運営され、私たち国民の命を守るための自衛隊という組織は、この拉致事件においてはまったく機能しませんでした。 その一つの原因となったのが、日本国内にいる反対派、左派政党の議員やいわゆる知識人たちでした。 「北朝鮮がそんなことをするはずがない」「日本は戦争の時に悪いことをしたのだから朝鮮の人がそのくらいのことをしたっていいではないか」「国際関係など大局的に見てそんなことは気にする必要はない」……。 彼らは拉致事件が明るみに出た当初から、このような残酷で人間性に欠ける言葉を公然と発してきました。そのようなことを言っていた人たちが、横田めぐみさんが拉致されていくのを止めることができなかった原因をつくったのです。 さらに言えば、当時の社会党や左翼人たちは「どうやらこうした拉致の話を知っていたのではないか」という話もずいぶんと言われています。 自民党でも党内の実力者が北朝鮮へ行って、お金か何かをもらっただけで帰ってきたという噂は絶えませんでした。その結果として、拉致事件に対する調査は今もなお十分に行われないままです。 これは非常に大きな犯罪であり、拉致を手助けしたような人物の名前も挙がっているわけですから、警察がきちんと犯人を逮捕して裁判にかけなければいけません。 警視庁公安部が拉致の実行犯とされる者を国際指名手配するなどしていますが、それ以上踏み込むことをしないのでは、本当に解決するつもりがあるのかどうか疑問に感じてしまいます。 『「新型コロナ」「EV脱炭素」「SDGs」の大ウソ』武田邦彦著 ビジネス社刊 20240421 P172
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