
私自身、鹿の苦手な植物だけが残った森林や、皮を剥がされて無残に白い幹を曝す木々を全国各地で目にしてきた。手をこまねいていれば、生物多様性は失われ、禿山だらけになってしまうかもしれない。 ここでもうひとつ大きな課題がある。撃たれた鹿の多くが山に埋められ、食肉化されているのは僅か1割に過ぎないのだ。命を頂いた立場としては、いかがなものか。 積極的に食肉として活用する気運を作っていきたい‥‥そう願うものの、「野生動物の肉なんて美味しくなさそう」と食わず嫌いの方も多いのではないか。あるいはかつて「臭い肉」を食べてしまい、もう食指が動かないという方もいると思う。 そのような方には、先入観を横に置き、まずは食していただきたいと思う。きちんと処理された新鮮な肉は、野生の肉であってもとびっきり「美味しい」。鹿は特に背ロースやタンなどが絶品。美味しいばかりでなく、高タンパク、低カロリーでビタミンB2、B6、ナイアシン、カリウム、鉄、銅、亜鉛などの栄養成分も豊富である。 鹿同様、農産物に被害をもたらす「やっかいもの」ながら山の幸でもある存在として、猪がいる。鹿に比べて遥かに脂の附が厚く、それがまた旨味たっぷりで赤身の部分と合わせて調理するとコクが出てたまらなく美味。ホルモン剤等人工的な薬物の心配もなく、これぞ健康的だ。 かつて「臭い肉」を食べたことがあるとしたら、それは血液やドリップがきちんと抜けていなかった、もしくは古くなっていたのだろう。昨 今では逆に、プロの手による「美味しいジビエ」を提供するレストランが増えてきている。 『Renaisance Vol.13』ダイレクト出版 「消えゆく日本の伝統食」野生肉の復活を 葛城奈海氏より R050528 (※)環境省と農林水産省は平成25年12月に「抜本的な鳥獣捕獲強化対策」を共同で 取りまとめ、「ニホンジカ、イノシシの個体数を10年後(令和5年度)までに半減」することを当面の捕獲目標とした。
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