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2022年11月7日月曜日

ウソ4 人間がCO2を出すせいで、北極と南極の氷が減ってきた

ウソ4 人間がCO2を出すせいで、北極と南極の氷が減ってきた 【事実】北極圏は、水温が自然変動の上昇期にあるため、海氷も減少傾向を示す。しかし南極圏の氷が減った気配はない。 温暖化の話を引っかき回したパワーの点で、アルバート(アル)・ゴアの右に出る人はいないでしょう。むしろ本書の後編にふさわしい話題も多いのですが、本章のテーマにもからむため、ここで彼の足跡を振り返っておきます。 ハーバード大学の政治学科を出て下院・上院議員になり、一九九三~二〇〇一年のクリントン政権で副大統領を務めた人。九七年の京都(COP3)に乗り込み、CO2削減率の約束(ホントの章、ウソ10)を○・五%程度にとどめたかった日本を「議長国がそれじゃあダメ」と叱りつけ、六%に上げさせました(日本がひとり負けした原因。ウソ10)。そのくせ当のアメリカは、途上国が削減義務を負わないからと、京都議定書を批准しなかったのです。 学生時代から環境に関心を寄せ、二〇〇六年の映画『不都合な真実』に出演し、同名の本(日本語版は枝廣淳子訳)も出した業績で、二〇〇七年のノーベル平和賞をIPCCと共同受賞(映画はアカデミー賞を受賞)。やがて炭素取引所の起業、太陽光発電や電気自動車業界への出資などで儲け、二億円弱だった個人資産を一〇〇億円近くに増やし、史上初の環境長者(ウィキペディア記事の表現)になっています。 国内に三つの豪邸を構え、テネシー州ナッシュビル市の家だけで庶民の二〇倍も電気を使いながら、他人にCO2削減を説く強者でした。 ここからが本章にからみます。ゴアの『不都合な真実』は、およそ科学とはいえない話が満載でした(『神話』5章)。ただしメディアが好むのは、理屈っぽい部分ではなく、庶民にわかりやすい部分だけ。その典型が「温暖化で北極圏の氷が減り、ホッキョクグマ(シロクマ)が苦しむ」という話です。猛獣なのに見た目がかわいい(?)ホッキョクグマは、子ども向けにもぴったりの素材でした。 たとえばNHKは、ノーベル平和賞とアカデミー賞を権威とみたか、二〇〇七年から翌年にかけ、プラネットアース第8集 極地・氷の世界』とか『NHKスペシャル 北極大変動 第1集 氷が消え悲劇が始まった』を放映したうえ、「みんなのうた」で『ホッキョクグマ』という歌(作詞・西村達郎)を流してもいます。歌詞の一部は左のとおり(傍点は引用者。なお「溶け」は、「融け」か「解け」のほうがよさそう)。 ホッキョクグマが減ってゆく 何かがおかしい地球の様子 氷がどんどん溶けはじめ 白い世界は小さくなった (日本音楽著作権協会(出)許諾第二二〇四四六二-二〇一号) あの歌で地球温暖化問題に興味をもったんですけどねぇ‥‥と、当時の妄信(洗脳)を残念がった若者を何人か知っています。テレビの「わかりやすい動画やメッセージ」は、それほどにインパクトが強いのですね。ゴアの映画『不都合な真実』でも(映画そのものは見ていませんが、ネットにあふれる抜粋版から判断)、たちまち融けて消え失せそうな流氷の上、北極海を漂う「哀れなホッキョクグマ君」のCG コンピュータ・グラフィックス)が、名場面のひとつでした。 でも心配はご無用。ホッキョクグマは泳ぎの達人だから、流氷がなくても生きていけます。 しかも、およそ二〇万年前にヒグマから分かれて以降、いまより気温がだいぶ高かった時代を何度も生き延びてきました。少なくともここ数十年、ホッキョクグマの暮らしを脅かしてきたのは、狩猟だけなのです 「みんなのうた」の放送期間は二〇○八年一二月~○九年一月だったところ、なかなか評判がよかったらしく、ネット検索すればYouTube版も見つかります。また、二〇二二年五月に発売されたCD二枚版『みんなのうた~昭和・平成の名曲ベスト』(キングレコード)では、なんと、収録された四八曲のひとつが『ホッキョクグマ』です。 いま北極圏の気温がじわじわ上昇中なのは事実でも(次項)、ホッキョクグマが「減ってゆく」というのは、事実ではありません(『狂騒曲』3章 )。ホッキョクグマ研究の第一人者、カナダ・ヴィクトリア大学の女性研究者スーザン・クロックフォード博士や、国際自然保護連合の調査によれば、一九四○~五○年代は狩猟のせいで数を大きく減らしたものの、狩猟が禁止されて以後の一九七○年代から二〇二〇年代にかけ、およそ五倍にも増えました。そのため、「害獣」ホッキョクグマの狩猟はまた解禁されています。 某出版社のベテラン編集者も、以上のようなことをお話ししたら、びっくり仰天のようでした。ゴアの映画や以後のメディア報道に、ひょっとすると中高校や大学時代の教員にも、すっかり洗脳されていたのでしょう。 約一○年後の二〇一七年、映画と原書のほか日本語版(枝廣淳子訳)も出た続編の『不都合な真実2』でゴアは、科学的な測定・観測データ類をあまり使わず、メディアが飛びつきそうなホラー写真をくり出しながら、実効のあやしい「行動」の訴えに終始しました。むろん、前作の「勇み足」に気づいたのでしょう、ホッキョクグマの話はありません。 もうひとつ、前作では大げさな仕掛けも使いつつ得意げに解説していた「CO2増加⇒気温上昇」の因果関係も、やがて「真実」(気温上昇 ⇒CO2増加)を学んだらしく、『2』ではまったく触れていません。それについてはウソ7の末尾で紹介しましょう。 「気候変動・脱炭素」14のウソ』渡辺正著(丸善出版株式会社)

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